🌿 OKグラム(OKgram)とは

OKグラム(OKgram) は、アメリカの精神科医 エリック・バーン(Eric Berne) が提唱した
交流分析(Transactional Analysis:TA) の理論に基づく、
人間関係における「自己と他者への基本的な態度(OK-OKポジション)」 を図式化した心理学モデルです。
自己肯定感と他者肯定感に関わる心理尺度としても活用されています。
OKグラムは、エゴグラムの欠陥を補うために開発された心理テストです。
交流分析(TA:Transactional Analysis)という心理学理論に基づいています。
ポジティブ心理学アセスメント研究所では、このOKグラムをもとに、ポジティブ心理学に基づいて解説する
「ポジティブOKグラム」を開発しました。
以下のサイトで実施することが可能です。
すべての回答をポジティブ心理学の視点で、フィードバックする視点が取り入れられています。
https://www.sinritest.com/okgram.html
*4象限マップなども表示されます。
開発の背景と目的
エゴグラムとの違い
エゴグラムはそのときどきの自我状態を捉えているが、その奥にある個人の構え(基本的な対人態度、自己評価、自己概念)まではとらえていない という問題がありました。同じようなエゴグラムの結果を示す人でも、実際の対人関係のあり方や適応状態が異なることがあったため、OKグラムが開発されました。
測定する内容
OKグラムは以下の4つの要素を測定します:
- 自己信頼・自己肯定感(I’m OK / I’m NOT OK)
- 他者信頼・他者肯定感(You’re OK / You’re NOT OK)
4つの基本的構え(人生態度)
交流分析が目指すのは、自律性の確立と自分と他者とのOK-OKな人間関係作り Amebaです。人生に対する4つの基本的な構えは:
① I am OK, You are OK(自他肯定)
- わたしも、あなたも良い
- 健康的に自他を認めている状態
- 最も健全な対人関係の姿勢
② I am NOT OK, You are OK(自己否定・他者肯定)
- わたしはダメで、あなたは良い
- 自分に自信が持てず、卑下や回避する状態
- 劣等感や依存的な傾向
③ I am OK, You are NOT OK(自己肯定・他者否定)
- わたしは良いけど、あなたはダメ
- 他人に疑念をいだき、排除する状態
- 支配的・攻撃的な傾向
④ I am NOT OK, You are NOT OK(自他否定)
- わたしも、あなたもダメ
- 自他を認められず、ひきこもる状態
- 絶望的・無力的な傾向
グラフの見方
OKグラムは数学の関数グラフのなかに四角が描かれたようなもので、グラフの右側がI am OK、左側がI am not OK、上がYou are OK、下がYou are not OKとなります。
四角(面積)の大きさや位置から、どの領域が優位に反応しているかを視覚的に把握できます。
活用方法
- 自己理解の促進:自分の対人関係のパターンを客観的に認識
- コミュニケーション改善:他者との関わり方の傾向を把握
- セルフコントロール:気づきから行動修正へ
- カウンセリング:心理療法やキャリアカウンセリングでの利用
OKグラムは、エゴグラムと併用することで、より深い自己理解と人間関係の改善に役立つツールとして、心理カウンセリングや教育現場などで広く活用されています。
🧭 基本構造
OKグラムは、縦軸と横軸に
「自分をOKと感じるかどうか」と「他者をOKと感じるかどうか」という2つの心理的評価軸をとり、
次の4つのポジション(心理的立場)を示します。
| ポジション | 自分に対する態度 | 他者に対する態度 | 心理的特徴・典型的な行動傾向 |
|---|---|---|---|
| I’m OK – You’re OK | 自己肯定 | 他者肯定 | 建設的・協力的。成熟した関係を築ける。 |
| I’m OK – You’re Not OK | 自己肯定 | 他者否定 | 支配的・攻撃的。批判や優越感が強まる。 |
| I’m Not OK – You’re OK | 自己否定 | 他者肯定 | 依存的・劣等感。自己卑下や回避傾向が見られる。 |
| I’m Not OK – You’re Not OK | 自己否定 | 他者否定 | 無力感・絶望感。人間関係の断絶や無関心に陥る。 |
この4象限をOKグラム図として視覚化することで、
個人やチームがどの心理的立場からコミュニケーションしているかを理解できます。
💬 心理学的意義
OKグラムは単なる性格分類ではなく、
**「対人認知の枠組み」や「自己価値感の構造」**を明らかにする心理学的ツールです。
- **交流分析(TA)**の「自我状態(Parent–Adult–Child)」と組み合わせて、対話パターンを分析できる。
- カウンセリング・コーチング・教育・組織開発などで、
人間関係の改善・心理的安全性の向上・チームの信頼形成に役立ちます。
🌱 応用領域
- カウンセリング/心理療法:自己受容・他者受容の支援
- コーチング心理学:クライエントの「I’m OK」感の強化
- 教育・学校現場:生徒間の相互理解・自己肯定感の育成
- ビジネス・組織開発:リーダーシップスタイルと心理的安全性の促進
🌟 まとめ
OKグラムは、「自分も他者もOK」と感じられる心のあり方を目指す、
自己肯定と他者尊重の心理学モデルです。
この枠組みを通じて、人はより健全で協働的な関係を築き、
自分らしく、そして相手を大切にしながら成長することができます。


